はじめに

今年は修士一年生から二年生にまたがる年であり、修士課程もいよいよ終わりを迎える。 修士も来年(2026年)の3月で区切りとなるため、修士のうちにやるべきことはやるべき良い一年である。

今年の第一目標であった「国際論文への投稿・発表」は成し遂げることができた。 来年は修士の研究成果発表と、博士課程の一年目が控えている。 修士課程の総括は修了時に述べたいと考えているため、博士が始まる時期に改めて博士課程での目標を綴ろうと思う。

1月

IBM Research - Tokyo のオフィスツアーに参加した。量子コンピュータや半導体技術、AI、AIプラットフォームなど複数の研究事業について説明を受け、話を伺うことができた。 特にAIプラットフォームの部署では、AIアクセラレータ用のコンパイラや基盤技術を研究しており、私に最も刺さる内容であった。 インターン参加のオファーをいただいたが、当時はまだ講義を受講している時期であったため辞退した。 しかし、一度は参加してみたいと思うほど魅力的であった。

また、SCIS2025という学会で共著者が共同研究論文を発表するため、付き添いで参加した。 初めてネットワークに関心を持って調査した研究であり、他研究室との共同研究であることを踏まえれば、ある程度うまくいったと言える。 後に論文賞を受賞したとの連絡を受けたため、良い成果だったのだろう。

この頃、博士後期課程への進学を考え始めた。 なぜ博士に行こうと思ったのか。 今振り返ると、現在の指導教員でなかったら進学しなかっただろうということ、そして何らかの専門家になりたいという意思があったからだろう。

2月

自身の研究対象をシミュレーションできるフレームワークの実装が完了したため、その上で提案手法と既存手法の実装を行っていた。 フレームワーク上で動作する CPU アーキテクチャは aarch64 であり、初めての開発に色々と戸惑い、時間を浪費してしまった。

3月

1月頃に応募していた夏の IIJ Research のインターンに合格した。 日本国内だが上司が海外の方であるため、実質的に初めての英語でのインターンとなる。 面接は1時間ほど英語で行われ、研究に対する質問や議論をしたことを覚えている。 拙い英語であったが、IIJ Research の方が理解しようと努めてくれたおかげで合格できたのだと思う。

自身の研究に必要なシミュレーションフレームワークが完成したため、これに関する国際論文を投稿することになった。 フレームワークの実用性を証明するため、既存手法を実装し評価を行っていた。

また、BitVisor Summit にて研究内容の実装詳細について少し発表した。 既存ソフトウェアに少し変更を加えた再現実装と、自分の提案手法の実装に関するものであったが、発表できるレベルの成果として出せたことは良かった。

4月

半導体設計として VCO を作成し、作成した VCO が載っているダイに対して手作業でワイヤーボンディングを行った。 手作業でのワイヤーボンディングは非常に大変であったが、慣れればすぐにできるらしい。 細かな作業が苦手な私はほとんど上手くいかなかったが、経験できただけで良かったと感じている。

国際論文の実装と評価を進めながら、投稿のために英語で論文を執筆した。 英語での論文執筆は初めての経験であり、教授の指導とAIの支援を受けながら書き進めた。 日本語の論文でさえ書くのに時間がかかる現状だが、英語での執筆にはさらに膨大な時間を要した。 今後改善していきたい。

5月

アルバイトと研究に必要な実装を行っていた。 この頃から AI の実装力が私を遥かに上回っていたため、AI を活用しながらコードを書いていた。 確かに AI が出力するコードが悲惨なこともあったが、多くの実装を助けられた。 実装が AI に任され、私の仕事がなくなるのではないかと危機感を覚えるほどだった。

国際論文のレビュー結果が返ってきて、採択されたことを確認した。 初めての国際論文投稿であり、13人からレビューをいただいた。 5段階評価で2.2という、本来なら不採択に近いスコアであったが、Short Talk として採択していただいた。

また、博士課程の入学試験と学振 DC1 の応募を行った。 学振 DC1 は不採用であった。 狭き門である。 博士課程の入学試験には合格した。

6月, 7月

国際会議での発表を行った。 DRAM 業界では有名な方と会うことができ、とても嬉しかった。 今後も頑張っていきたい。

8月, 9月

IIJ Research のインターンに参加した。 初めての英語環境でのインターンであった。 これを機に、今後は海外企業のインターンにも挑戦していきたい。

10月

誕生日を迎え24歳になった。 もうすぐアラサーである。 髭を剃るのが面倒すぎたため、医療脱毛を始めた。 一回だけでも確かに毛が生える速度が遅くなった気がする。 2ヶ月間一度も剃らなくて良いとなればかなり嬉しい。

修士も終わりが近づき、貸与型奨学金の返還予定額の通知が届いた。 約640万円。 博士でも同額を借りると合計で約1500万円になるらしい。 博士修了後、私はこの金額の借金を返済できるのだろうか。

11月

研究の一環で CPU の知識を少しかじった。 具体的には命令レベル並列処理(ROB や LQ など)についてである。 スーパースカラには馴染みがなかったが、現代の CPU がそうなっていることを知り、自身の無知を痛感した。

12月

現在は修士論文を書かなければならないが、全く進んでいない。 学部生の頃は、この時期にはある程度卒論を書けていた気がする。 今年は定期的にだらけてしまい、研究をしていない時期が多かったように思う。 これから巻き返して頑張りたい。

最後に

来年4月からは博士学生一本となる。 来年は論文誌と国際会議をそれぞれ一本ずつ通したい。

今年も私と関わってくださったはありがとうございました。 来年もどうかよろしくお願いします。

※この振り返り記事は途中でほとんど電子の渦に飲まれて行ってしまって、私が発狂したので雑記述になっている。